電動式の車椅子を操作するのも思うほど簡単ではない。自在に動き回るには慣れが必要だし、機敏性も求められる。事実、車椅子用の玄関スロープを上ろうとして失敗し、転げ落ちて大怪我を負った事故は少なくない。むしろ玄関先で車椅子を降りて、高めの上がり枢に移るほうが安全だ。「そんな心配はない。誰かに押してもらえばいいのだから」と反論される方もいるだろう。しかし急なスロープを「押してくれる人」とは誰のことだろう。若くて十分な体力のある息子や娘なら安心だが、老いた夫や妻を想定したらどうなるだろう。
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自分自身が車椅子のお世話にならなければならない年齢だとしたら、おそらく配偶者の体力だって衰えている。車椅子を押しながら急なスロープを上っているとき、万が一、バランスを失い、転げ落ちそうになったら、身を挺して受け止めることができるだろうか。下手をすれば夫婦そろって転んで大怪我をしてしまう。そうしたケースが年々増えている。首尾よく玄関スロープは上れたとしよう。しかし、本当の問題はここから先である。